朗読劇「島守の塔」の曲紹介♪

朗読劇「島守の塔」の本番2公演、無事終了しました。
まん延防止等重点措置の中、ご来場いただいたみなさま、ありがとうございました♪

貴城けいさん、北翔海莉さん、舞羽美海さんという3人の元宝塚のトップスターとアナウンサーの立花さんの稽古の時とは一段も二段もギアを上げた熱量と素晴らしい表現力に置いて行かれないよう必死で着いて行ったような舞台でした。

達成感・充実感・悔しさ・感動・感謝、いろんな思いが入り混じって、めちゃめちゃいっぱい書きたいことがあるんだけど、この後6月26日〜7月2日に公演のオンデマンド動画配信（チケット：イープラス／ぴあ）もあるのでネタバレを避けながらw、僕が携わらせてもらった音楽と使った三線について書いてみることにします。

今回の朗読劇の中で歌われたのは5曲。
曲によって三線のチンダミ（調弦）が違うのですが、調弦時の音が静かな朗読劇の邪魔をしてしまうのを避けるために、チンダミ毎に4本の三線を用意して臨みました。

「ラバウル小唄」
戦時中に流行した“戦時歌謡”。
資料から出てきた沖縄バージョンの替歌の歌詞で舞羽さんに歌っていただきました♪
僕は、沖縄タイムスの旧社屋の基礎に使われていた琉球松に特別な加工を施した棹の三線で伴奏しました。

「加那よー」
賑やかでテンポの早い雑踊りの舞踊曲。
戦時中も慰問公演などで演奏されていたという記録が残っています。
僕がソロで唄三線を演らせてもらいましたが、ここ数週間僕の身に起こってたことの影響もあって、緊張がヤバくて声も手もガチガチでしたww
この曲で弾いた三線は、音を褒めていたら僕の結婚祝いに父がくれた知念大工型の三線でした。

「てぃんさぐぬ花」
県民愛唱歌〜うちなーかなさうた〜に制定された、うちなーんちゅなら誰しもが知っている大切な教訓を伝える沖縄民謡です。
舞羽さん演じる比嘉凛を中心に、貴城さん演じる島田叡、北翔さん演じる荒井退造の3人に歌っていただきました♪
この曲で弾いた三線は、祖父〜父〜僕と受け継いだ名工・又吉真栄氏による「マテーシー千鳥」。
父が亡くなる前日、病院の個室で父の三線のお弟子さんと一緒に三線を弾いてこの曲を歌ったことを思い出しました。

「屋嘉節」
沖縄戦で米軍が金武村（現・金武町）の屋嘉に設置した沖縄県最大規模の捕虜収容所「屋嘉捕虜収容所」。
そこで生まれた鎮魂歌です。
実は当初この曲は選曲に含まれておらず、追加が決定したのは本番の2週間ちょっと前。
この場面に歌を入れることになったきっかけは貴城さんと北翔さんからの提案からでした。
数え切れないほどたくさんの悲しい思いと涙が詰まったこの曲を歌うことは個人的にとても覚悟のいることでしたが、この場面にはこの曲以外に無いと思い、拙いながらも精一杯心を込めて歌わせてもらいました。
集落は違うけれども僕のルーツはその屋嘉のある金武町。祖父も父もそして僕自身も金武小学校の卒業生です。
この曲も「てぃんさぐぬ花」と同じく祖父の三線・マテーシー千鳥を弾いて歌いました。
加えてこのマテーシー千鳥の作者・又吉真栄氏が最初に三線店を開いたのは屋嘉のお隣の石川市（現・うるま市）。
なんだか不思議な縁というか力に導かれて歌わせてもらったような気すらしました。

「いちやてぃん」
今回の朗読劇の主題歌として書き下ろした楽曲です。
物語の風景に寄り添いながら、悲しい出来事とともにこの朗読劇のメッセージである「生きろ」「命どぅ宝（命こそ宝）」に込められた未来への希望をシンプルなメロディーで表現することを意識して作りました。
当日パンフレットに歌詞も載せてもらっています。
舞台の冒頭部では舞羽さんが、僕が上京時にほとんど弾いたこともないのに一緒に連れてきたクルチ（黒檀）の真壁型三線での伴奏で一部を独唱。
最後には、この劇中唯一、三線以外の楽器の音も入れてフルアレンジしたオケにのせて貴城さん・北翔さん・舞羽さん3人に歌っていただきました♪
お三方とも流石の素晴らしい歌唱力♪
後ろで三線を弾いていて、我が曲ながら感動で鳥肌が立つほどでした。